GB400にようやくなれてきたころ、同じ会社のドライバーからバイクを譲りたいと持ちかけられた。
機種はスズキのGSX750E。重さ約240キロ。相撲取りの小錦に匹敵する。運転にはかなり自信を持ちつつあった私は言われるままに買った。確か5万円だったと思う。真っ黒なボディに赤いストライプが走っていて、それが黒い稲妻を連想させ、私はこの車に「ブラックサンダー」と命名した。取り回しはすごく厄介だけどひとたびアクセルをひねって走り出すと、其の安定感、加速力は抜群。先のホワイトポニーとは比べ物にならない。一時はGB400を手放すことも考えたほどだ。
それからの15年ほどはこのブラックサンダーが幅を利かせて、東北旅行にはほとんどお供したものだ。
それだけに危険な目にもずいぶんあった。すんでのところで酔っ払いをはねそうにもなったし、走行中にこけたのも2回。たちゴケも2回あるが、命にかかわったのは東北旅行で蔦温泉へ行くときだったろうか,
たった今大粒のバラスを敷いたばかりの峠道に入ってしまった時だ。いまさら引き返すわけにも行かず、曲がりくねった峠道を崖側でない反対車線をハンドルを取られながら徐行していたら、カーブで突然上りのトラックと鉢合わせである。運が悪ければ崖から転落!で51歳の生涯を閉じていたかも知れない。相手のトラック運ちゃんがとっさに崖側の反対車線にハンドルを切ってくれたのだ。今思えばあの運ちゃん命の恩人である。以来ダートは一切ご法度である。
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by iyuzan
| 2010-04-07 09:05